”金って、世界中から集めても国際基準プール約4杯分”って本当?【田中貴金属】YouTube広告を検証!

ファクトチェック

調査員のCrevette(くるべっと)です。

田中貴金属さんの金投資を促すYouTube広告の中で

”金って、世界中から集めても国際基準プール約4杯分”という

説明があります。この内容の検証と、国際基準プールって何m?
など調査を致しました。

このブログの内容の動画も作成しています。
YouTubeはこちら↓

金とは?

元素記号はAu。ラテン語のAurum(オーラム)の略です。

原子番号は79です。

特徴➀、電気伝導度が高く、電気を良く通します。金属元素では「銀」,「銅」,「金」の順に電気を良く通しますが電気機器の端子などのメッキにも使用されている為、金が一番、電気を通しやすいと勘違いしている方がいらっしゃいます。

金は、錆辛い為、「銀」や「銅」より高額にも関わらず良く使われています。

特徴②、イオン化傾向が最も小さい金属元素で、腐食し辛いです。よって金を溶解する薬品はあまりありません。そのことより、王水という薬品にしか溶けないと記載された本などが多くありますが間違いで、ヨウ素液やヨウ素を含むうがい薬などにも溶けます。厳密には水にも溶けます。

関東化学㈱という会社から販売されている薬品で金のラテン語そのままの名で「AURUM」というヨウ素系のものが存在します。

王水があるのにどうして「AURUM」という薬品が売られているかですが、この薬品は半導体の製造プロセスにおいて複数の金属で構成された部品を金だけ溶解したり、金の一部分だけ加工したい時などに使われます。王水だと他の金属まで溶解してしまうからです。

あと、シアン化カリウム(青酸カリ)水溶液にも溶けます。これは金鉱石から金を取り出す際にも使われます。

田中貴金属工業㈱プロフィール

※参考:田中貴金属グループ  グループネットワーク(https://www.tanaka.co.jp/about/group/tkk.html
沿革・歴史(https://www.tanaka.co.jp/about/history.html

上記の通りです。

あと、最近やっているかわかりませんが豚のマスコットを使った「純金積立コツコツ」というCMで有名です。

同じ系列のグループ会社で田中貴金属ジュエリー㈱の直営店、「ギンザタナカ」も有名です。

調査の経緯

 

調査の経緯ですが、上記の通り田中貴金属さんのYouTube広告です。

元は、田中貴金属さんのYouTubeチャンネルの動画です。広告は上記のスライドの左側のものです。

配信日は、2019年で2022年6月4日時点で2,000万回以上再生されております。

開始から18秒までを記載していますが「ところで」からは広告の目的の純金積立の有用性の話で金の貴重性(希少性)に関する内容は「貴重なんですね。」までです。

本当は、国際基準プールって何メートル(25m?50m?)か知りたかっただけで「国際基準プール約4杯分」の部分はあまり気にしていませんでした。プールの長さを調べたタイミングで折角だからブログ(&YouTube)に!と思ったら尺が短かいのとタイトルにするのは微妙だったのでタイトル変更しました。

ちなみにスライドの右側は左側と微妙に異なる動画もあったので参考までに記載致しました。再生数は1/10以下で違いは「国際基準プール」が「オリンピックプール」に変わっているだけです。あと、タイトルに会社名が入っています。

動画は、以下よりご確認下さい。

●3分でわかる”備える金” ↓

●田中貴金属 3分でわかる”備える金”↓ こちらは「オリンピックプール」の方

事前調査

事前調査としてプール4杯分の実際の量(何トン?)を確認致します。

実際の量の確認

田中貴金属さんのHomePageに詳細が記載されておりましたので紹介致します。

これまで金が採掘された総量はわずか約190,040トン()。

これは、国際基準プール約4杯分しかないのです。

 引用:World Gold Council

※引用:田中貴金属工業 田中貴金属の純金積立 金の特徴(https://tt.tanaka.jp/first/feature/

更に、このHomePageのプラチナの特徴の欄に、有史以来の総生産量と記載がありました(ちょっとわかり辛いですが下のスライドの右のグラフのタイトルに記載有)。有史以来とは文字による記録がある時代からという事になりますので実際の採掘量よりは少ない可能性があります。

※引用:田中貴金属工業 田中貴金属の純金積立 プラチナの特徴(https://tt.tanaka.jp/first/feature/

ということで

これまでに採掘された金の総量は”有史以来”で”約190,040トン”(らしい)

とわかりました。

有史以来と知った時点で「え?」って思い、これで辞めて良い気もしますが最後までご覧頂けると嬉しいです。

国際基準プールのサイズ

次に国際基準プールのサイズについて確認致します。

日本水泳連盟の”プール公認規則2018”には次のように記載されております。

第2章 公認競泳プール
第1節 通   則
16条(公認競泳プールの種類・形状)
①公認競泳プールとは公称50m国内基準競泳プール(以下、 「50m一般プール」という)、公称50m国際基準競泳プール(以 下、「50m国際プール」という)、公称25m国内基準競泳プー ル(以下、「25m一般プール」という)、公称25m国際基準競泳プール(以下、「25m国際プール」という)をいう。

※引用:公益財団法人 日本水泳連盟 プール公認規則2018(2018.4.1施行)(https://www.swim.or.jp/assets/files/pdf/pages/about/rule/r_tools201804_02.pdf

以上より、25と50mの2種類ある事がわかりました。深さや幅にもよりますが25と50mではで2倍違うので単純に国際基準プール約4杯というのはどうなのかと思います。ちなみに競泳プール以外に飛び込み,水球,アーティスティックプールがあり、飛び込みは深そうなイメージがありますが、ぱっと聞いた時には競泳プールを思い浮かべると思いますのでここは問題視しません。

国際基準プールは長さ”25m”と”50m”がある

オリンピックプールのサイズ

念の為、オリンピックプールのサイズも確認致しました。

先ほどと同じ日本水泳連盟の”プール公認規則2018”の”第2章 公認競泳プール” の

”第三節50m国際プール”には次のように記載されています。

第3節 50m国際プール
この規則において国際プールは、前条に定める公認プールのうち、 国際水泳連盟(以下 “FINA”という)がオリンピック大会、世界選手権水泳競技大会等FINAが開催する国際競技会の施設の基準として定めた要件を満たしたプールであって、本連盟がそのために定めた要件を満たすプールをいう。

※引用:公益財団法人 日本水泳連盟 プール公認規則2018(2018.4.1施行)(https://www.swim.or.jp/assets/files/pdf/pages/about/rule/r_tools201804_02.pdf

タイトルの通り50m国際基準プールが使えます。

次は”第五節25m国際プール”です。

第5節 25m国際プール
この規則において国際プールは、前条に定める公認プールのうち、 国際水泳連盟(以下 “FINA”という)がオリンピック大会、世界選手権水泳競技大会等FINAが開催する国際競技会の施設の基準として定めた要件を満たしたプールであって、本連盟がそのために定めた要件を満たすプールをいう。

※引用:公益財団法人 日本水泳連盟 プール公認規則2018(2018.4.1施行)(https://www.swim.or.jp/assets/files/pdf/pages/about/rule/r_tools201804_02.pdf

ということで25mプールも使えそうですが通常競泳ではターンをすると記録が良くなるのでどちらも使えるとは思えません。ちなみに25mプールでの競技は”短水路”、50mは”長水路”と言い、これらは別々の記録があります。

オリンピックの競泳種目には25mはありません。この規則は50m国際基準プールの規則と内容が全く同じだったので、まさかコピペして”オリンピック”を消し忘れた?という事もあるかもしれませんが規則上はオリンピックプールに25mも使える事になります。

と、言っても信用できないので先ほどから頻繁に名前が出ていたFINA(国際水泳連盟)の施設ルールを確認しました。

FR 2.2 SWIMMING FAILITIES FOR OLYMPIC GAMES AND WORLD CHAMPIONSHIPS
FR 2.2.1   Length
Length: 50.0 metres between the Automatic Officiating Equipment touch panels, except for the World Swimming Championships (25m), which shall be 25.0 metres between the Automatic Officiating Equipment touch panels at the starting end and the wall or touch panels at the turning end.

※引用:FINA FACILITIES RULES 2021– 2025(https://resources.fina.org/fina/document/2022/02/08/77c3058d-b549-4543-8524-ad51a857864e/210805-Facilities-Rules_clean.pdf

FR2.2に”オリンピック”と”世界水泳選手権”のプールの長さが記載されております。FR2.2.1のLength(長さ)の部分に50mと記載されています。本文1~2行目には

Except for the World Swimming Championships (25m)

と記載されております。日本語にすると”世界水泳選手権大会の25mを除き”とありますが当然”オリンピックの25mは除く”とは記載されておらずオリンピックには50mプールしか使えないとわかります。

やはり日本水泳連盟は50m国際基準プールの規則をコピペしたのでしょうか?大は小を兼ねると言いますし、25mが使えても使うはずもなく問題ないと思います。気が向いたら日本水泳連盟に確認してみます。

オリンピックプールの長さは50m
※ただし、日本水泳連盟の規則では25mも使えることになっている
 FINA(国際水泳連盟)の規則では25mは使えないのでこちらを優先

金の総量は何mプール約4杯分?

金の総量約190,040トンが何mプール4杯分なのか計算する為の手順を説明致します。

計算方法の考え方ですが、金の総量と同じ体積の水の重さを計算します。この重さを25mと50mプール4杯分の水の重さと比べれば25mなのか50mなのかわかります。
その為に、スライドの➀でまず水と金の密度を確認しています。比重という言葉の方が馴染みがあると思いますし水の比重は”1”なのでこちらを使った方が金との重さ比較は楽なのですが密度を使う理由があります。
国際基準プールの水の温度には規則があり26℃以上となっています。水の密度は4℃が最大でこの時を”比重1”としているので26℃では値が僅かにかわってしまします。それで26℃に近い温度の密度を探したところ20℃のデータがあったのでこれを使うことにしました。
実際は殆ど値に差が無いので比重を使っても全く問題ないのですが比重は4℃の水の密度を比重1として他の物質は相対値として計算されているので単位がありません。その後の計算で単位があった方が説明がわかり易いので密度を使ったのが本当の理由です。
あと、”1atm”とは海面上の気圧を1とした時の圧力の表現です。これは標準気圧と呼ばれております。
スライドの②では➀で調べた金の密度を水の密度で割ると金が水の何倍の重さか、わかりますので金の総量をこの値で割れば金の総量と同じ体積の水の重さが計算できます。
通常密度は”g/cm3”で記載されている事が多いですが金の重さを”ton”としている事とプールの体積を”m3”で計算している事から”ton/m3”で表記しております。”ton=106g”、”m3=106cm3”なので”106”は消せるので”g/cm3”の密度の値が”ton/m3”にそのまま使える事がわかります。
最後はスライドの③ですが国際基準プールの25mと50mの体積を計算してそれぞれの値に水の密度を掛けると国際基準プールの水の重さが計算できます。これを4倍(4杯分)した値と②の計算値を比較すれば完了です。
すごく簡単に書くと、例えば金の重さが水の重さの2倍ならば金の重さを1/2すれば水の重さが計算できる。ただそれだけです。
ということで計算結果です。
※1 参考:㈱八光電機 各種物質の性質 https://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/menu2.htm
※2 参考:公益財団法人 日本水泳連盟 プール公認規則2018(2018.4.1施行)
スライドの左側のピンクで囲った数値が金の総量と同じ体積の水の重量です。この値が右側のピンクで囲った50m国際基準プール4杯分の値に近い事から金の総量は50m国際基準プール約4杯分とわかりました。
ちなみに金は水の重さの約19倍です。
これまでに採掘された金の総量は有史以来で”50m”国際基準プール約4杯分(らしい)

金の総量調査

ここからがやっと本題?で、これまでに採掘された金の総量が190,040トンが正しいか調査致します。ただし、この数量がいつからいつまでなのか記載がないので最終的には50m国際基準プール約4杯分(3.5以上、4.5杯未満)ならOKと致しますが2本あった動画の古い方の配信日2018年7月30日を越えない期間と致します。

調査方法と注意点

➀データの引用元を確認(World Gold Council)

田中貴金属さんが引用した”World Gold Council”に2010~2021年の年次の地上在庫の推定値のデータがあったのでこれを調査致します。

引用元のデータがあるHomePageには注意書きで「2021年の地上在庫にはまだ採掘されていない地下在庫推定53,000トンを含む」と記載されてありましたが内訳を計算してもこれは含んでおりませんでした。気が向いたら引用元に確認してみます(この手のメールを何度か送ってますが大凡返信はないのですが懲りずに送ると思います。)。

ちなみに”World Gold Council”は1987年設立で世界の鉱山会社からなる協会でイギリスに本部があります。

②年次の採掘量から計算(USGS:United States Geological Survey)

田中貴金属さんの引用元を調べてもあまり意味がないですし、しかもすべてが推定値でしかないので別の調査も致します。”USGS”に年次の採掘量のデータがあるのでこれを調査致します。

ちなみに、”USGS”は1879年設立で米国の内務省管轄の公的機関です。

1493~2021年の年次の採掘量のデータがあったのでこれを合計します。ただし、1921~1929年の累計は1921~1930年の累計から1930年を引いた値です。

1493~1929年は任意の複数機関の累計の推定値です(年次の報告書の1936年版に記載)。

1930~2021年は年次の報告書から1年または複数年取得(2021年は推定値)します。

また、1930年からは国毎のデータもありますが一部、推定値が含んでおります。

ややこしい事をしているように思われるでしょうが、調査する際に1932年版から1年毎に報告書がありこのファイルをすべて開いてデータを拾っています。1つの報告書には複数年分のデータが記載されています。その際、新しいデータはしばらくの年数推定値になっています。年数が経つと推定値ではなくなるのでなるべく古い年次のデータを拾うようにしています。

例えば、2000年版の報告書よりデータを見ると2000年は100%推定値です。この時、複数年(例えば1997,1998,1999,2000年)のデータが記載されていますが翌年の報告書からは1997年のデータは消えます。この消える直前のデータが一番新しいのでこれを拾っています(見る報告書によって同じ年のデータでも異なる事が多いです。)。

地上在庫はすべて推定値
採掘量は1493~1929年,2021年は推定値

金の地上在庫(推定値)

※参考:World Gold Council Above-ground stocks
https://www.gold.org/goldhub/data/how-much-gold#from-login=1&login-type=google

金の地上在庫の推定値です。

まず、スライドの⓪は50m国際基準プール約4杯の金の重量の計算値です。約4杯というのは小数点第一位を四捨五入する場合は3.5杯以上4.5杯未満なのでこれから計算して金169,727~218,219トンになります。

次は➀田中貴金属さんの資料の金の総採掘量、約190,040トンですがいつからいつのデータか記載ありません。

②~⑥は5年間の地上在庫ですが、すべて約4杯の範囲内です。また1本目の動画は2018年7月30日配信で2本目の動画は2019年6月18日配信なので⑤と⑥番の頃のデータと比較すると➀の190,040トンとほぼ同等でした。

地上在庫は50m国際基準プール約4杯分の範囲内

金の採掘量:累計(推定値含む)

次は、金の採掘量の累計です。青線はプールの数です。

1493年からのデータですが1杯に達するのが453年後の1946年です。

2021年時点で4杯には達していませんが小数点第一位を四捨五入して約4杯です。3.5杯を超えたのが2015年になります。

累計は188,722トンで田中貴金属さんの資料の190,040トンに1,318トン不足ですが大きな差ではなく当然約4杯になります。1本目の動画が2018年配信なので2017年までだと、176,092トンです(約4杯)。少し値に乖離がありますが動画では約4杯としか言っていないので約4杯の内なら問題ありません。

ちなみにこのデータは米国の公的機関のものなのでアメリカ大陸発見の1492年10月12日の翌年の1493年からだと思われます。

金の採掘量の累計は50m国際基準プール約4杯分の範囲内

金の採掘量:累計(推測)

1493年以前の採掘量を推測してみます。田中貴金属さんのHomePageに次のように記載されております。

人類がはじめて金を手にしたのは、今から6,000年前だと言われています。

※引用:田中貴金属工業 田中貴金属の純金積立 金の特徴

と記載されております。

ということは、約5,500年分のデータが不足していることがわかります。

ただし、三菱マテリアルさんのHomePageには7,000~8,000年前と書かれていますので参考程度として下さい。

金の採掘量の一番古いデータが1493~1880年の総採掘量で約10,390トン。年平均ですと約27トンです。これが6,000年前から継続していると考えると1493年以前の総採掘量は(27トン×5,500年)で:約148,500トンです。

これだけで国際基準プール3杯分くらいになってしまいます。

金を採掘する技術はどんどん上がっているので1493年より以前が27トン採掘できたと思えませんが金は非常に重たい金属で地表より深いところに多く存在します。地表付近にも火山の噴火などで昔は多く存在したので1493年付近より昔の方が金が沢山採掘できた可能性もあります。ということで、やはり無いデータの予測は辞めます。

有史以前は有史以来より採掘量が少ないと言い切れないので推測は中止

まとめ

まとめです。

金って、世界中から集めても国際基準プール約4杯分?って本当か?について調査していましたがそれ以前の問題だった気がしますね。

➀隠れている条件がありましたので、もし実際は5杯分以上、採掘されていても「実は有史以来なんですよ」と言われればそれで終わりですね。

もう一つ国際基準プールは長さ50mでした。一般人は25mプールをイメージする気がしますが50mと言ってしまうと25mとイメージした時より多く感じてしまい金の貴重性(希少性)が少なく感じるから言わなかったのでしょうか?

②金の総量調査結果です。田中貴金属さんの推定は約190,040トンでした。2017年末地上在庫は推定、約191,000トンで50m国際基準プール約4杯分です。

1493~2021年の総採掘量は約188,722トン(50m国際基準プール約4杯分)。という事で50m国際基準プール約4杯分は有史以来で、約6000年前から現在では約4杯分とは言い切れない。

とします。

金の総採掘量は有史以来で50m国際基準プール約4杯分
約6,000年前から現在(2022年)では約4杯分とは言い切れない

否定的コメント予測

否定的コメント予測です。

金が発見された6,000年前にはシュメール人がくさび形文字を使っていたので6,000年前が有史以来ではないかと突っ込まれそうですが・・・

1493年より前のデータが見つけられませんでした。国毎で歴史を調べると少しはデータはありますがまとまったものではなく約5杯になりそうなものではありませんでした。

金の地上在庫と総採掘量に大差がなかったので金採掘の歴史を考えても約5杯にはならないとは思います。

もともとは、田中貴金属さんが純金積立を推奨する理由として金の貴重性(希少性)を伝える為のものなので。もし倍の8杯分だったとしても金の貴重性(希少性)に大きな差はないと思います。

といっても納得できないと思いますので少し捕捉します。

金にまつわる歴史

まずは、金にまつわる歴史についてです。

紀元前の部分は幾つか違った説があるので参考程度に考えて下さい。

紀元前4,000年頃、いわゆるメソポタミア文明の頃の最古の都市ウルの遺跡にて金細工品が発見されました。同時期の同文明にてくさび形文字も作られました(いずれもシュメール人によるもの)。

同時期、ブルガリアのヴァルナ墓地から発見された金細工品が最古とも言われております。

紀元前1,300年頃、ツタンカーメンが在位していた頃にその墓から黄金のマスクなどの金細工品が発見されました。

十五世紀、鉱石の粉砕に水車が利用されました。これは杵・臼の動力として利用されました。

1492年10月、コロンブスがアメリカ大陸周辺のサン・サルバドル島に到着しました。

十九世紀中頃、ワットが新方式の蒸気機関を開発し鉱脈を手掘りから蒸気機関が使われるようになりました。

十九世紀後期ダイナマイトが普及シアン化法により含有量の少ない鉱石からも金の抽出が可能となりました。

上記より十九世紀に入ってようやく金の生産技術が加速していきました。

説明は省略しますが、金の採掘量の情報収集手段という観点で通信に関する歴史もスライドに少し書いてあります。国際通信の始まりが十九世紀入ってからなので今回使用している二十世紀以降のデータは一応、信用できるのでは?くらいに思って頂ければ良いと思います。

先ほど、シアン化法というもので金の含有量が少ない鉱石からでも金の抽出ができるようになったと説明しましたが、この内容の補足です。

地球上に存在する金は上のスライドのようにナゲットとと呼ばれる金の塊や砂金、鉱石の状態で存在しますがナゲットの状態で発見できれば効率が良いですが過去のゴールドラッシュなどで多く発見され地表付近ではその存在が減っています。

現在は、一番効率が悪い鉱石の状態で多く採掘しています。金は、地球上に多く存在するケイ素,鉄などと比べてもかなり重いため、地球の深いところに多く存在します。

当然、地球の深いところから採掘するにはコストが高くなるので金の含有量が少ない地表付近の鉱石からも金が抽出できればコストが安くなります。それが可能になったのがシアン化法による金の抽出技術です。

国別採掘量

十五世紀より前の金の採掘量を調べるにあたりどこの国が金の採掘量が多かったのか調べました。

国別の採掘量で、一番古いものが1931年でしたのでデータをまとめてみました。

※参考: USGS Gold Statistics and Information https://www.usgs.gov/centers/national-minerals-information-center/gold-statistics-and-information

アフリカ,カナダ,米国,ソビエト連邦,オーストラリア,メキシコ,日本で全体の約695トンの91.3%の約634トンになります。

もしこれらの国が、過去には全然採掘できなかった場合は6,000年前から現在までの総採掘量はプール約5杯にはならないと考えられます。ただし、過去に沢山採掘できたがこの頃には採掘できなくなった国があればどうなるかわかりません(過去に金ナゲットが多く存在する国があったが、取りやすい場所の物は取り尽してしまった可能性あり。)。

※参考: USGS Gold Statistics and Information https://www.usgs.gov/centers/national-minerals-information-center/gold-statistics-and-information

少し、古いですが2013年のデータもまとめました。

1931年と比べて総量が4倍以上になっております。他、大きな違いは中国が大幅に順位が上がった事とその他の量が二位という事です。1931年のデータは最初から資料にその他と記載されていましたので記載されていた国をすべてグラフにしていますが2013年のデータは1931年のその他を含めた国数(28個)と同じになるように採掘量が27位より少ない国はその他に入れました。

その他が実質二位になっていますが、技術発展により金が採掘できる国と量が増えた事が原因だと思われます。

といっても、有史以来がたったの約500年で有史以前が約5,500年なので採掘量が1/10でも有史以来と同程度採掘できると考えれば、プール5杯分にはなりそうな気もします。

ということで最後に1931年に金採掘量が多かった国の金採掘の歴史を簡単に調査してみました。

※参考:De Re Metallica, 12, 2009 pp. 65 https://mega.nz/#!rt0HkARB!S4yAmRRrlBfmDkWqQuMRu6xyX9MziBABoeUInuUizaw

表の中で採掘量がはっきり記載されていたものだけ説明致します。北と東アフリカで紀元前3,000年頃のヌビアの古代エジプト人にて年間推定40トン産出。という情報がありました。これは何年間続いたのかわかりませんが古代エジプトは約3,000年間と言われていますので単純に3,000倍すると120,000トンになります。これはプール2杯分以上になります。

四捨五入して5杯になる4.5杯以上になるには約28,200トン不足で40トンが約705年継続すれば達成します。これなら他の国の分も考慮すれば約5杯になりそうな気もします。

最後に・・・

最終的に、有史以前を含めると50m国際基準プール約5杯以上になるのかならないのか良くわからない内容で終わってしまい申し訳ありません。

基本的に事実情報をだけ伝えたいのであえて曖昧にしました。

実は、テーマの内容とは別に伝えたい事があります。

投資話や勧誘などする時はできるだけわかりやすく大げさに良いところだけ話す傾向があるので、皆さんもこのような話があった時はすべて信用せずに自分で色々調べてみて下さい。

くれぐれも勧誘してきた人が信用できる人がだからという理由だけで話を進めず、きちんとリスクなども理解してするしないの判断をすると良いと思います。

以上です。

 

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